人の誕生 【ギリシア神話】

人の誕生

人はクロノスが神々の王として君臨している時から存在しました。
この時の人は”黄金の種族”と呼ばれます。

黄金の種族は不死ではありませんが、不老で病気などの苦しみからも無縁でした。
また、必要なものは大地がありあまるほど出してくれて、働く必要もなく毎日宴会をして楽しく暮らしていたのです。

やがて、彼らが眠りにつくように安らかに死に絶えてしまうと、次に神々は”白銀の種族”をつくりました。
白銀の種族は黄金の種族よりずっと劣っていて、姿形においても、精神のありかたにおいても黄金の種族とは全くちがうのです。
彼らは100年のあいだ子供のままでやっと大人になっても、大人になってからはほんの少ししか命を保てないのです。
また、彼らはお互いに害しあい、神々を祀ったり拝んだりしませんでした。
そのため、彼らは怒ったゼウスによって滅ぼされてしまいました。

次にゼウスは”青銅の種族”を作りました。
彼らは生まれながらにして非道で強靭な戦士達でした。
彼らは戦争だけをして暮らし、お互いに滅ぼし合っていました。

やがて青銅の種族が滅ぶと、ゼウスは”英雄”と”鉄の種族”を作り出しました。
この鉄の種族こそ今の人類なのです。

 

 

 

人と神の区別

 

昔は神と人との区別がまだはっきりとしていなかったのですが、ある時ゼウスは神と人とを区別することにしました。
そのため、神には神の、人には人の運命をきちんときめることにしました。

そこで、プロメテウスが一頭の牛を出し2つの部分に分けゼウスにこういいました。
「この2つに分けた牛で神々と人間との区分をつけましょう。さあ、神々の取り分をお選び下さい」

この2つに分けられた牛ですが、一方は美味しい肉と内臓を皮で隠したもの、一方は食べられない骨を美味しそうな脂肪で隠したものでした。
プロメテウスはゼウスをだましたのです。

まんまとだまされたゼウスは脂肪で包まれた骨のほうを選びました。
こうして、以後人が牛を殺すたびに肉と内臓は人がたべ、骨と脂肪は神々にお供えすることになったのです。
こうして人と神との区別がはっきりなされることになりました。

しかし、脂肪の中から骨が出てきたのをみたゼウスは怒り、プロメテウスと人間に報復することを考えました。

 

 

 

パンドラの箱

 

プロメテウスと人間達に報復を考えるゼウスは神々に命令をして、一人の女を作らせました。
姿形は女神ににせ美しく、しかし、嘘とずる賢さと泥棒の性質をもたっふり込められていました。
この女はパンドラとなずけられ、神々からの贈り物とともにプロメテウスの弟エピメテウスに送りました。

エピメテウスは兄のプロメテウスと違い愚か者でした。
兄から「ゼウスからなにが送られてきてもなのも受け取ってはいけないよ」と言い聞かせられていたのに、送られてきたパンドラの美しさにめを奪われ、パンドラを妻にしてしまったのです。

エピメテウスの家には兄のプロメテウスが人間に災いとなるものを閉じこめてた小箱がありました。
この小箱をパンドラは気になりあけてしまいます。
小箱をあけた瞬間、箱の中からあらゆる災厄が飛び出てきたのです。

この時から、人はあらゆる災厄に悩まされることとなります。
しかし、小箱の中には希望も閉じこめられていたので、人はいつでも希望を持つことができるのです。

 

 

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